1987年のブランド誕生以来、イプサを象徴するアイテムとして進化を続けてきたメタボライザーが、この9月10日リニューアル新発売された。今でこそ数は増えたけれど、“化粧水+乳液”をこれ1本で、といういわゆる1本ケア品の草分け的存在で、シンプルでおしゃれでらくちんで効果がある、という、女子心をしっかり掴む要素がいっぱいのロングセラー商品だ。今回は“発光素肌”をコンセプトに、より磨き上げられたリニューアルとのこと。充実保湿のME モイスト、保湿と美白のME モイストホワイト、保湿+美白+エイジングケアのME スーペリアの3タイプで、それぞれさらに、肌質に合わせて4タイプ、計12本の中から自分にぴったりの1本を選べるようになっている。
元々定評のあるメタボライザーの、なにをこれ以上バージョンアップするんだろう? 変化しすぎて違うものになってたら……? 私は正直かなり、期待より不安のほうが大きかったのだけれど、使ってみてそのきめ細やかな、隅々までよく目の行き届いた改善ぶりに「うーんすごい」と思わず感嘆した。
まず、こうした1本ケアによくある肌なじみの問題。すーっと肌が吸い込むようになじむただの化粧水にくらべたら、どうしても1本ケア品のなじみは遅い傾向にある。しかし今回のMEは、いいのかなと一瞬不安になるほど素早く浸透して、肌にぷりっと潤いのツヤが出る。私はスーペリアの3を試したのだけれども、この素早さで、猛暑×エアコンの環境にもかかわらず肌に1日困ったトラブルはなかった。肌の調子がよろしくない日には少し目元や口元に重ね塗りはしたけれども、この夏は特に、あれを塗ってこれも塗ってということが異様に面倒に感じる暑さだったから、これはこの夏もっとも出番の多かった商品。これからの季節、部分的な乾燥がもっと気になるならば、さらに保湿力の高い4をセレクトすればいい。
それと、素肌の元気さやメイクのりの良さ、夕方になっても「ああそういえば今日は、お粉もプラスしてないな」という毛穴の穏やかさなど。潤うのは当然として、見た目的にもトラブルがなく美しい。もちろん今までのメタボライザーもそうではあったのだけれど、このちょっとしたハリ感やキメの整い方のアップが、よりナチュラルなメイクでも“持つ”肌になれた感じがある。
こうして言ってしまうと本当にそれぞれのバージョンアップぶりは繊細。だけれども、ちゃんと“イプサのメタボライザー”の良さを継承しつつも、「ああそうそう、前は確かに、ここまでぷりっとしなかった」、「ここまでなじみが早くなかった」と、使ってみて初めてわかる向上がここそこにある。それぞれの要素が少しずつアップして、初めて整う“発光素肌”なのだなと。
元々優れた合格点を持つものを、それ以上に磨き上げることほど、地味で手間のかかる作業はないと思う。実際、納得のいく商品になるまで発売を見送る覚悟で取り組んだそうで、結局1年延ばしたというこだわりようだ。さらには、ボトルの裏を見てみると“3PUSH”の文字があり、これは、効果の実感を得るためにどうしても必要な1回の使用量らしい。「とか言って、いっぱい使わせたいだけでしょぉ」と訝られるリスクがあるのにもかかわらず明記する潔さ。これも使ってみてわかることだけれども、2と3PUSHの差は本当に大きくて、確かにと納得してしまった。
こういう仕事を長らくしていて言うのも憚られるが、日本の市場は今まで急ぎすぎたなと思う。新しい成分や処方、限定品などを連発して売り切って行くというか。これはコスメに限ったことではないし、実際その中からロングセラーも生まれたりもするけれど、こういう消耗のスタンスっていい加減どうなのかと日々疑問に思う。今すでにある優秀なものをブラッシュアップする、磨き上げる作業は前述のとおり果てしなく面倒だ。でも、その面倒を乗り越えないと、今の目の肥えた、しかもお財布の紐が固くなった賢い消費者の心を動かすのは難しい。そしてこれからもっと、難しくなり続けるに違いない。
ちなみにこちらは、ふた月ほど前に行われたこの商品の発表会の様子。大きな会場で大きな垂れ幕が下がり、本品に対する力の入れよう、こだわり、愛情、自信がうかがえる。この姿勢、本当に格好いいなと私は思う。
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