
数日前、かなり古い友人とランチをした。正確にはランチを食べ、ぶらっとお買い物などをしたあと、お昼から小一時間しか経っていないのに「じゃあケーキ食べようか」とお約束のようにうきうきとカフェに入る。友人との「ランチ」は口実に近く、本題はこのカフェに入ってからの長いおしゃべり。別に本題、というほど騒ぎ立てる議題もそうそうないのだけれど、とりとめのないおしゃべりは、なんとも言えないくつろぎの時間だし、彼女とはかれこれ小学校からという付き合いの同級生。どうでもいいような小さい話題を矢継ぎ早に畳み掛け合い気づけば夕方、というのがいつものパターンだ。
この日ももちろん、「おいしいね」とフルーツやチーズのケーキを食べながらいろんなおしゃべりをした。一番盛り上がった内容は、最近私が買ったブレスレットについてだ。黒い小さなビーズが連なった、ちょっとエスニックな夏向きブレスレット。実は似たようなものを持っていたのだけれども、去年、古くなったゴムが千切れてビーズを盛大にリビングにまき散らしてしまった。かなりのお気に入りだったのでどうしてもその代わりが欲しく、つい先日、たまたま通りかかった小さなアクセサリーショップで運命の出会いを果たし、しかもセールだったので、ただでさえリーズナブルなものが、言うのも憚られるほどの安さで手に入った。家に帰り、こっそり袋を開け、手首にはめ、にたっと一人で笑って、ああ今日はいい買い物ができたぁなんて、アクセサリー専用の引き出しにそっとしまった。

「で、私思ったんだけどね、なんでこっそり、しまったのかなって」
私は彼女に切り出した。なぜかそのあとも、「これ買ったんだよねー」とか夫に言い出せないでいる、と。自分でも不思議だ、なんでなんだろう、ふつうに「買った」と言えるものもあるのにね、などなど。彼女も「そういえば私もある」と。夫に言ったものとそうでないものが確かにあるけど、その言うか言わないかの境ってなんだろうね、自分で働いたお金で買ったものなのにね、と。
彼女もフォークを置き「う~ん」と考える。私も考える。
しばらく二人でうんうん唸りながら首を傾げ、ああでもないこうでもない、と、それなりの予想を言い合うのだけれども、どれもこれもぴんとこない。
「でも、言いずらいってことは、こちらに後ろめたさがあるからだよね」
「だよね」
「それって。値段じゃないよね」
と彼女。確かに、と私。現に私のブレスレットがいい例だ。
う~んそれじゃあなんでだろうねと、また迷宮入りに思われたそのとき、ふと、私の頭にひらめくことが。今回の私のこの買い物にかんして言うならば、「似たようなものを、また買ってしまった」というあたりじゃあないのかなと。
「ああ。それ、言えてるかも」

と彼女もぱっと顔を明るくして膝を打つ。女というのはどうにも衝動買いが好きで、衝動的に買うものってすなわち無意識に飛びつく好み中の好み、本能の品。「そういうのもう持ってるでしょ」という心の言葉をあっさり無視して、きゃっきゃとアドレナリンに任せて買ってしまうものだ。私のブレスレットは去年それが壊れてしまったとはいえ、「なにもそこまで」と自身につっこんだほど似たようなデザイン。いくら代わりが欲しかったからってなんとも芸がないじゃないかと、そういえば家に帰ってちょっと冷静に思ったのだった。そしてもっと冷静になれたのなら、この程度のことで夫たちは小言など言わないだろうという見当はつくのだけれど、かくも似たようなものを衝動買いするとは、後ろめたいものなんだよなぁ。
「でも、そういうふうに買ったものって、ちゃんと飽きずに使うものが多いんだよね」
と、またひと盛り上がり(笑)。

こうしていつものようにこの日も楽しい会話で数時間。日も暮れ生憎雨も降り出してきたので、じゃあまたそのうちねと二人で手を振って別れた。
きっと男の人にとっては本当に、「だからどうした」というような話であろう。でも、本当にエンドレスなんだよね、こういう会話(笑)。
(c)tw1994
(美意識(美容)、フリーランス生活)
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